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タイ東部経済回廊とプーケットに資金が向かう理由

タイ東部経済回廊とプーケットに資金が向かう理由

タイ東部経済回廊とプーケットに資金が向かう理由のニュース解説イメージ

ニュースの概要

不動産大手JLLの調査によると、東南アジアでは投資マネーの行き先が変わりつつある。これまで中心だった首都圏だけでなく、経済回廊、工業都市、観光地にも資金が流れ始めた。タイでは東部経済回廊(EEC)が、道路や港湾などの整備と、生産拠点を中国以外にも分散させる動きを追い風に、工場や物流施設の投資先として存在感を高めている。一方、プーケットやパンガーでは、ホテルや高級住宅、ウェルネス施設への需要が強まっている。海外不動産を扱う仲介業者にとっては、バンコク中心の商品構成を見直す時期が来たことを示す動きである。

引用元: タイのEECと観光地で不動産投資が拡大(The Nation Thailand)

分析・見解

首都一極集中から、目的別に分かれる投資先へ

東南アジアの不動産投資は長い間、バンコクやジャカルタ、マニラといった首都圏のコンドミニアムが中心だった。買い手が個人投資家に偏り、分かりやすい商品が好まれたためである。

しかし今回の調査が示すのは、投資の目的ごとに行き先が分かれ始めたという変化だ。工場向けならEEC、宿泊や滞在型の住宅ならプーケット、という具合に、物件の種類と地域が結びつき始めている。

EECを支える二つの力、インフラと生産拠点の分散

EECは、タイ東部のチョンブリ、ラヨーン、チャチューンサオの3県にまたがる開発地域だ。レムチャバン港や空港、高速鉄道計画が集まり、自動車や電機、電気自動車関連の工場が並ぶ。

ここに加わったのが「チャイナ・プラス・ワン」である。これは、中国一国に頼らず、もう一つ別の生産拠点を持つ考え方だ。ベトナムやインドネシアとも競合するが、タイは部品を作る会社が既に厚く集まっている。工場を新設する企業は、倉庫や物流拠点も同時に必要とするため、周辺の賃貸用施設が連鎖的に伸びやすい。

観光地の需要は、旅行から長期滞在へ変わった

プーケットとパンガーでは、単なる観光客向けホテルではなく、長く滞在する人向けの需要が目立つ。リモートワーク(=在宅や遠隔での勤務)が定着し、数カ月単位で暮らす外国人が増えたためだ。ヨガや療養、健康診断を組み合わせたウェルネス施設も、滞在日数を延ばす役割を果たしている。

たとえば沖縄や北海道のニセコでも、観光地が別荘と長期滞在の市場に変わった例がある。ニセコでは宿泊単価が上がると同時に、地元の住宅価格も押し上げられた。プーケットも似た道をたどる可能性がある。

見落とされがちな、規制と為替という共通の弱点

両地域には共通の弱点もある。タイでは外国人がコンドミニアムを所有できる割合に上限があり、土地の所有は原則認められない。工業用地も、借地期間や投資奨励制度の条件で収益が変わる。

さらに、バーツ高になれば外国人の購入負担が増し、観光客の減少や工場の採算悪化を招く。地域が分散しても、リスクが消えるわけではない点には注意したい。

ビジネスへの影響

商品構成を、住宅一辺倒から三本立てに見直す

海外不動産の仲介業者は、バンコクのコンドミニアムだけでは顧客に選択肢を示しにくくなる。EECの物流施設や工場跡地の活用、プーケットのホテル型レジデンスなど、利回りの出方が異なる商品を並べると提案の幅が広がる。

特に法人や富裕層には、賃料収入を狙う物流施設と、値上がりと自己利用を兼ねる観光地物件を組み合わせた提案が響きやすい。ただし、仕組みが複雑になるほど説明責任も重くなる。現地の弁護士や税理士と連携し、所有形態を契約前に明確にしておく必要がある。

顧客に伝えるべきは、期待利回りより出口の描き方

新しい地域の物件は、買う時よりも売る時が難しい。EECは工場の撤退リスクがあり、観光地は景気や感染症、災害の影響を受けやすい。

営業資料には、想定利回りだけでなく、数年後に誰へ売るのか、賃貸需要が落ちた場合はどう備えるのかを書き込みたい。現地の稼働率データや競合物件の新規供給数を、四半期ごとに更新して顧客へ共有すれば、信頼の積み上げにもつながる。

小さく始めて、情報の取り方を先に整える

いきなり大型案件に踏み込む必要はない。まずは現地パートナーを一社決め、EECとプーケットの月次の取引事例を集めるところから始めるのが現実的だ。そこで得た数字が、自社の目利きの力そのものになる。

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